Yokohama National University, Faculty of Engineering
(Bio Microsystem lab)

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● Tissue engineering


Vascular research

 

電気化学的細胞脱離とin situゲル化スマートバイオマテリアルを用いた血管様構造の構築
研究目的
 近未来の治療法として、再生医療に国内外で大きな注目が集まっている。再生医療とは、自己の細胞を用いて組織・臓器を作製し、これを移植する治療法である。すでに臨床応用が始まっており、治療効果も示されつつある。ただし、今の技術レベルでは、皮膚や角膜のような薄い組織に限られているのが現状である。一方、三次元的に厚みのある他の重要な臓器については、血管構造を構築する技術がないために、開発が進んでいない。これは、再生医療の研究がこれまで医学部主導で進められ、工学的な技術が導入されていないのが一因と考えられる。そこで本研究では、電気化学、有機化学などの工学的なアプローチを導入し、血管構造を構築する技術を開発する。これによりcmサイズの組織を試験管内で作製することが将来的な目標である。
研究内容

 血管構造を導入するプロセスに数時間を要するようでは、その間に酸素が枯渇するため有用な技術とは成りえない。そこで本研究では、(1) 細胞外マトリックスの構成成分であるゼラチン (Gelatin)とヒアルロン酸 (HA)を原料として、これらを混合するのみで10秒程度で素早くゲル化するGelatin-HAハイドロゲルを作製し(図1)、(2)電気化学を用いた細胞回収法と組み合わせることで、素早く血管構造を構築することを目的とした(図2)。
 具体的には、(1)のGelatin-HAハイドロゲルは、まず、それぞれの材料に官能基 (CHO-、ADH-) を導入し、Gelatin-ADHとHA-CHOを作製した。これらの溶液をダブルシリンジを用いて混合すると、-ADHと-CHO間の自発的な架橋反応により、10秒程度でゲル化することが示された。また、走査型電子顕微鏡 (SEM)による孔径の評価や物性試験機によるヤング率測定、細胞接着評価によって、 このハイドロゲルは濃度を変更するのみで容易にゲル強度や細胞接着性をコントロールできることも示された。
 一方、(2)の電気化学的な細胞脱離法は、オリゴペプチドを修飾した金電極表面上に細胞を接着させたのち、オリゴペプチドと金の結合を切断してオリゴペプチドを脱離させるのに伴い、細胞も脱離させるものである。金表面上に接着した細胞の表面を上記ハイドロゲルで覆い、オリゴペプチド層を電気化学的に切断することで、細胞をハイドロゲル側へ転写できることを示した。最後に、これらの技術を用い血管構造を作製した。すなわち、金を蒸着させたシリンジ針上にペプチドを介して血管内皮細胞を接着させ、アクリルで作製したデバイスに配置した。そして、ハイドロゲルをデバイス内に導入した後、電気化学的に血管内皮細胞をゲルに転写した 。 これにより内表面が血管内皮細胞に覆われた血管様構造を素早く (10分以内) に作製可能であることが示された。

[参考資料]
 
 

 

 

 

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● Lab Chip/ MEMS
● Surface modification
● Microbe
 
 
 
 

 
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