Yokohama National University, Faculty of Engineering
(Bio Microsystem lab)

Home Lab member Research Publications Resources Links Contact us
   
 

● Tissue engineering


Hair research

 

毛髪再生能を有する毛包原基のバイオファブリケーション
研究目的
 毛髪は生命の維持に直結するわけではないものの、個人の印象を大きく左右するため、老若男女問わず、その治療へのニーズは大きい。近年、毛髪疾患の最先端の治療として、生体外で毛髪を作り出す種となる毛包を再生し、それを移植する毛髪再生医療が注目されている。一般的に毛包は、胎児期において外胚葉由来の上皮系細胞と、中胚葉由来の間葉系細胞との相互作用により発生することが知られている。この発生過程を再現することにより、毛包器官の原基を作製し、これを移植することで毛包再生を目指した研究が盛んに進められている。しかし、数万本の毛髪を再生することを考えると、均一な毛包の原基を大量に作製する技術の確立が不可欠である。本研究では、微細加工技術を用いて作製した独自のスフェロイド培養器を用いて、毛包器官の原基を均一かつ大量に作製し、これを移植することで、生体と同等の毛髪を再生させる技術の開発に取り組んだ。
研究内容

 マウス胎児より背部皮膚を採取し、上皮組織と間葉組織に分離したのち、上皮系細胞と間葉系細胞を単離した。細胞非接着処理を施したPDMS製のスフェロイド培養器に上皮系細胞と間葉系細胞を1:1の割合で混合し、播種した。スフェロイド培養チップに播種した2種類の細胞は、3日間の培養中に、各well内で同種細胞どうしが凝集し、それらが融合した毛包の原基を構築した。この毛包原基中のほとんどの間葉系細胞はアルカリホスファターゼを発現しており、構築した組織体は、毛包誘導能を有することが示された。さらに、この原基をヌードマウス皮下に移植したところ、移植後18日で再生毛包原基がホスト皮膚内に生着して毛成長し、毛周期(毛髪成長、毛髪退行)を繰り返すことが観察された。移植18日目の皮膚を採取し、凍結切片を作製後、毛包再生に寄与する2種類の幹細胞(毛包上皮幹細胞及び毛乳頭細胞)特異的タンパク質に対する免疫染色を行ったところ、正常な毛包と同様に2種類の幹細胞の存在が観察され、組織学的に正常な毛包を形成していることが示された。以上の結果より、スフェロイド容器で大量に作製した毛包の原基は均一かつ安定に毛髪を再生させる能力を有することが示された。


図1 毛包原基の作製とマウスへの移植

[参考資料]
 

 

 

 

● Vascular
● Liver
● Hair
● Pacnreas
● Bone
● MEMS
● Surface modification
● Lab on a chip
● Microbe
 
 
 

 
Fukuda Lab, Faculty of Engineering, Yokohama National University