Yokohama National University, Faculty of Engineering
(Bio Microsystem lab)

Home Lab member Research Publications Resources Links Contact us
   
 

● Tissue engineering


Surface research

 

自己組織化オリゴペプチドを用いた細胞脱離
研究目的
 近年、iPS細胞に代表される万能細胞などから生体外で組織を構築し、移植することで欠損した臓器や組織の治療を行う再生医療と呼ばれる新たな治療技術が注目されている。この治療法の実現には、シャーレ上で生体組織を構築し、さらにその組織を非侵襲的に回収する技術が必要である。当研究室では、電気化学的な反応により、細胞が素早くかつ非侵襲的に培養表面から脱離する現象を発見し、これを細胞組織の構築に応用してきた。この原理は、金−チオール結合を利用して金電極表面に単分子層を形成し、これを介して接着させた細胞を、金−チオール結合を電気的に切断することで、脱離させるものである。これまでに、アルカンチオール自己組織化単分子膜、または両末端にチオールを有するオリゴペプチドを用いて、細胞や細胞シートの脱離が可能であることを示してきた。本研究では、この原理を自己組織化オリゴペプチドに応用し、より素早い細胞脱離技術の確立を目的とした。
研究内容

 静電的な相互作用によって密なペプチド層を表面に形成できる2種類の自己組織化オリゴペプチド(細胞接着性: CGGGKEKEKEKGRGDSP、細胞非接着性: CGGGKEKEKEK)を設計した(図1)。ここで、ペプチドの片末端にはチオール基を有するアミノ酸であるシステインを配置し、金表面との化学結合に用いた。また、細胞接着性オリゴペプチドの逆末端にはRGDを配置した。 このペプチド修飾表面のタンパク質の非特異吸着抑制能を評価するため、QCMによる測定を行った。その結果、代表的な細胞接着タンパクであるフィブリノーゲン、フィブロネクチンの吸着が抑制されることを示した。また、細胞接着性、細胞非接着性の二種類のオリゴペプチドを金基板上に配置することで細胞パターンが形成された(図2)。続いて、細胞接着配列RGDを含むペプチド上でマウス線維芽細胞を培養し、電位印加による細胞脱離を評価した。 電位印加1分後には70%の細胞が脱離し、2分後にはほぼ100%の細胞が脱離した。従来のアルカンチオール自己組織化単分子膜を利用した場合は、5分間の電位印加が必要であったことから、より素早い細胞脱離が可能となった。更に、本手法は細胞パターンや細胞シートの回収にも応用可能であり、細胞間の結合を維持したまま回収可能であることが示された。

[参考資料]
T. Kakegawa, N. Mochizuki, N. Sadr, H. Suzuki, J. Fukuda*, Cell-adhesive and cell-repulsive zwitterionic oligopeptides for micropatterning and rapid electrochemical detachment of cells, Tissue Engineering (IF=4.64), 19(1-2):290-8 (2013)

 

 

 

● Vascular
● Liver
● Hair
● Pacnreas
● Bone
● Lab Chip/ MEMS
● Surface modification
● Microbe
 
 
 
 

 
Fukuda Lab, Faculty of Engineering, Yokohama National University