Yokohama National University, Faculty of Engineering
(Bio Microsystem lab)

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● Tissue engineering


Surface research

 

電気化学的な細胞脱離を利用した細胞シート回収技術
研究目的
 再生医療を実現するには、「得られた細胞を如何にして移植するか」が一つの重要な課題です。現在、生体外で細胞シートを作製し、これを積層化して移植に耐えうる組織構造を構築する手法が有望であると考えられています。そこで本研究では、電気化学的な細胞脱離法を多孔質メンブレンに応用することで、生存限界に近い細胞シートを作製し、それらを積層化することで、ピンセットでつまめるくらいの厚みのある細胞組織を作製する技術の確立を目指しました。
研究内容

 本研究では、細胞接着性配列(RGD)を含む9つのアミノ酸配列からなるオリゴペプチドを設計し、両末端に配置したシステインが有するチオール基を介して金表面に結合させます。そして、このペプチドの電気化学的還元脱離に伴って細胞組織を金表面から脱離させる技術を確立しました(図1)。この手法の利点として、ペプチドは数秒単位で脱離することがこの結果から分かっていますので、非常に素早い細胞回収が望めるということがあります。今回設計したオリゴペプチドを用いることによって、基板に接着した線維芽細胞や内皮細胞などを5分以内にほぼ全て回収することが可能になりました(図3)。この技術を、底面に直径 400 nmの貫通孔を有する多孔質メンブレン上に応用しました(図2)。それにより、従来のガラス基板よりも酸素供給が2倍以上改善され、2週間後には線維芽細胞シートの厚みは50 μmに達しました。そしてこの構築した細胞シートを電気化学的に脱離させることによって、直径2 cm・厚さ50 μmの細胞シートを5分以内に脱離・回収することができました(図4)。
 さらに回収した細胞シートを5枚積層化することで、厚さ200 μmというピンセットでつまめるくらい厚みのある細胞組織を作製することができました(図5)。しかしながら、これ以上厚みのある組織ですと、移植しても内部の細胞が酸素や栄養の供給律速によって壊死してしまいます。したがって、今後はこの細胞シート内に毛細血管を張り巡らせるような技術を確立したいと考えています(図6)。

[参考資料]
N. Mochizuki, T. Kakegawa, T. Osaki, N. Sadr, NN. Kachouie, H. Suzuki, J. Fukuda*, Tissue Engineering Based on Electrochemical Desorption of an RGD-Containing Oligopeptide, Journal of Tissue Engineering and Regenerative Medicine (IF=3.53), (2012)
J. Enomoto, N. Mochizuki, K. Ebisawa, T. Osaki, T. Kageyama, D. Myasnikova, T. Nittami, J. Fukuda, Engineering thick cell sheets by electrochemical desorption of oligopeptides on membrane substrates, Regenerative Therapy, 3, pp24-21 (2016)

 

 

 

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